2005年にニュースでも大きく取り上げられ社会問題にもなった、
耐震強度偽装事件はみなさんもご存知でしょう。
この報道を見て、マンションは安全性・耐震性・耐久性に問題があるのでは
ないかと心配するようになった人も多いと思われます。
耐震強度偽装事件のような危ない物件を購入してしまっては不安ですし、人生の中でも大きな買い物となるマンション購入でそのような失敗は
したくないと考えるのは当然です。
これはマンションに限ったことではなく、戸建て住宅にも言えることですが、
そのような被害を避けるためには慎重な物件の選択が必要となります。
これといって理由も見当たらないのに、相場からかけ離れている安い物件は
そのような問題がある可能性も高いので、十分注意しましょう。
実際に耐震強度が偽装されたマンションを買った方の多くも、安かったから
買ったのが間違いだったと後悔しているようです。
安い物件にはそれなりの理由があるはずです、上手い話には裏があると考え、
安易に飛びつかないように気をつけましょう。
阪神淡路大震災では多くのマンションやオフィスビルが被害を受けました。
鉄筋コンクリート造りのマンションの中で被害が特に多かったのは、
1階部分を駐車場や吹き抜けにして柱だけで支えるピロティ式の建物でした。
5階から10階建てのマンションに多かったのですが、
上下の階は大丈夫だったのに、建物の中間層のひとつの階だけが潰れるという、
予想外のことが起こりました。
阪神淡路大震災で被害を受けたマンションは、建築された年代によって
被害を受けた割合が比例しています。
1971年以前に建てられたマンションの無被害率は約40%、
1971〜1981年に建てられたマンションの無被害率は約45%、
1981年以降に建てられたマンションの無被害率は約60%です。
1971年は、1968年に起きた十勝沖地震を教訓にして
鉄筋コンクリート造りのせん断補強規定が強化された年です。
1981年は1978年の宮城県沖地震を受けて耐震設計基準が大幅に
見直された年で、新耐震基準がマンションにも制定されました。
1981年の新耐震基準以前に建てられた建物とそれ以後の建物では、
強度に差があることは明白です。
1981年の新耐震基準規定によって、鉄筋コンクリート造りの
マンションにおける安全性は格段に高められました。
新耐震基準では安全のために2段階の構造設計をしています。
これが1次設計、2次設計と呼ばれるものです。
第1次設計では、中規模地震に対して深刻な被害が出ないように考えられた
設計を想定しています。
中規模地震とは震度5の地震で、この程度の地震なら建物の構造に深刻な
被害が出ない、軽い補修程度で住み続けられることを目標に設計します。
第2次設計では震度6程度を想定しており、建物は壊れても一気に倒壊せず、
建物内にいる人を守ることを最優先目標に設計されます。
福岡県西方沖地震でのマンション被害では、この第2次設計が機能した
結果といえるでしょう。
それ以上の強度を持たせるよう、第2次設計の基準を引き上げて震度6
でも大丈夫な強固な建物にしたらいいのかというとそうでもありません。
それではマンションの建設コストが高くついてしまうからです。